介護とピラティスについて

ピラティスの歴史

ピラティスは1900年代初頭にJoseph Hubertus Pilates(ジョセフ・H・ピラティス)によって考案されたエクササイズです。

1880年ドイツに生まれたピラティスは幼少から、くる病、喘息、リウマチ熱などに苦しんで育ちました。病を克服するために彼は、自身の体を変えようとあらゆるエクササイズを経験、またヨガや禅など東洋の勉強をし、強靭な体を作り上げました。 そしてこれらの経験から後に、正しい呼吸が正しい姿勢と、正しいからだの動きを導くことを知ります。

1912年、ピラティスは英国に渡り、プロボクサー、サーカスパフォーマーなどで生計を立てますが、第一次世界大戦の開戦とともに彼と他のドイツ人は「居留外人」として拘留されます。捕虜となった彼は、看護兵として負傷した兵士を看護するようになり、負傷兵を復帰させるリハビリとして身体的エクササイズと呼吸のコントロール、精神的リラクゼーションを合わせた一連のエクササイズを教授しました。

この時期、彼はベッドで寝たきりになった患者のリハビリとして、筋力や柔軟性を向上させるよう、ベッドから取り外したスプリングで寝たきりの患者の為に運動用のマシンを開発。これがリフォマー(ピラティス専用マシン)の原型となり、 Pilates(ピラティス)の誕生となりました。
また、この当時インフルエンザが流行しており、多くの人々がこの病に倒れる中、ピラティスのエクササイズを行っていた仲間たちは一人もこの病気に倒れなかったといいます。これは彼の行っていたエクササイズが体の免疫機能を高めたからだと考えられています。

その後、収容所から釈放されドイツへ帰国。様々なエリア、とくにダンスコミュニティーで彼のエクササイズが人気を呼ぶようになりました。そして1926年、ピラティスを広めるべく彼は米国へ移住し、ニューヨーク市にスタジオを開設。同じビル内にニューヨーク・シティ・バレエ団にスタジオがあったことから多くのバレエ・ダンサーにエクササイズを指導することになりました。
すると、その効果が人々に広く伝わっていきスポーツ選手や俳優たちの間でも話題となっていきます。

1967年、ピラティスは亡くなりますが、1990年代には彼の弟子達により世界中にピラティスメソッドの普及が行われ、2000年にアメリカで大ブレイク。ハリウッドスター達を魅了したことから日本でも関心を持つ人が増えてきました。

現在、アメリカを中心に海外で高齢者・障害者・子供・アスリート・整形外科的疾患・ボディメイク・ダンサーなど多くのジャンルで取り入れられており、理学療法士が「Physical Therapy&Pilates」で開業するケースも少なくありません。