現在、我が国の高齢者介護の多くは同居家族による介護に大きく依存しており、主な介護者の続柄は「配偶者」で25.7%、ついで「子」が20.9%「子の配偶者」が15.2%となっています。また、主な介護者と要介護者等の組合せでは「高齢者が高齢者を介護する」という、いわゆる「老老介護」が多くみられるようになりました。
2003年に内閣府が行った「高齢者介護に関する世論調査」によると、仮に家族に介護が必要となった場合どんなことに困ると思うかという問いに対し、「食事や排泄,入浴など世話の負担が重く、十分な睡眠が取れないなど肉体的負担が大きいこと」を挙げた人の割合が62.5%と最も高く、また自分自身が要介護者になった場合の不安も「家族に肉体的・精神的負担をかけること」
と答えた人が68.1%と最も高い結果となりました。その一方で、もし自分自身が老後に介護が必要となった場合に、どこで介護を受けたいと思うか聞いたところ「可能な限り自宅で介護を受けたい」と答えた人の割合が44.7%にのぼり、そしてその理由として最も多かった(85.6%)のが「住みなれた自宅で生活を続けたいから」ということでした。
このことから、当然のことながら多くの人が老後も自分自身が当たり前に送っている毎日の生活を長く続けたいと願っていることがうかがえます。
わたしたちが目指すべき高齢者介護とは、介護が必要になっても自宅に住み、家族や親しい人々とともに不安のない生活を送りたいという高齢者の願いに応えること。そして最後の選択肢として施設へ入所した場合でも、限りなく在宅での生活に近いものにし、高齢者の意思・自己決定を最大限尊重したものとするよう、施設おけるケアの在り方を見直していくことが必要と考え、「予防」をコンセプトとした運動習慣化は重要な課題といえます。